「実家じまいをしたよ〜、本当に大変だった…」

以前ケアマネジャーとして担当していたご家族から、世間話でこう聞いたことがあります。親が施設に入り、やがて亡くなり、誰も住まなくなった実家をどうにか片付けて手放す——。その一連の作業を「実家じまい」と呼びます。
先に結論をお伝えします。実家じまいは①片付け→②名義・相続の確認→③家の方針決め→④処分・清算の4ステップで進めます。そして何から始めるか迷ったら、「名義の確認」と「家族で話すこと」からです。ここを飛ばすと、あとで必ず手戻りが起きます。
ケアマネ・医療相談員として介護とお金の現場を見てきた立場から、この記事では実家じまいの全体像、費用の目安、使える補助金、やってはいけない失敗、そして「しんどい」と感じたときの考え方まで整理します。それぞれのテーマの詳細は専用記事にもまとめているので、あわせてご覧ください。

「実家じまい」は片付けだけじゃないっす🐾 家をどうするか、名義、お金、全部ひっくるめての大仕事っすよ!
実家じまいとは?「片付け」との違い
実家じまいとは、住む人がいなくなった実家を、片付けから処分(売却・解体)まで含めて整理することを指します。単なる「片付け」より広い概念です。
| やること | |
|---|---|
| 実家の片付け | 家財・不用品の整理、処分、清掃 |
| 実家じまい | 片付け+名義・相続の整理+家の処分(売却・解体・活用) |
実家じまいを始めるタイミングは、大きく3つあります。①親が元気なうちに一緒に進める、②親の施設入所を機に進める、③相続後に進める——の3パターンです。あとで詳しくお伝えしますが、ケアマネとして見てきた実感では、①に近いほど負担が軽く、③になるほど「片付け・名義・処分」が一気に押し寄せて大変になります。
実家じまいの進め方——4つのステップ
実家じまいは、順番に沿って進めると迷いにくくなります。大きく4つのステップに分けられます。
ステップ① 片付け・不用品の整理
まずは家の中を片付けます。重要書類(権利書・通帳・保険証券)を最初に探し、その後「残す・売る・捨てる」で仕分けていきます。物量が多い場合は業者に頼むことも検討します。仏壇がある場合は、片付けの中でも特に手が止まりやすいところです。魂抜き(閉眼供養)から処分までの手順は、こちらにまとめています。
あわせて読みたい:実家の片付けは何から?費用・業者・売れるものまでケアマネが解説
あわせて読みたい:実家じまいで仏壇はどうする?処分の手順と費用を解説
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ステップ② 名義・相続の確認
家や土地の名義が誰になっているかを確認します。田舎の家は、名義が何代も前のままになっていることが少なくありません。名義が整理されていないと、売却も解体も進められないため、早めの確認が重要です。
あわせて読みたい:固定資産税の名義人が死亡したままにしていると起きること——相続登記と売却の手順
ステップ③ 家をどうするか決める(売る・解体・活用)
片付けと名義の整理ができたら、家の行き先を決めます。売る、解体して更地にする、賃貸や空き家バンクで活用する——それぞれにメリットと費用があります。田舎の家は買い手が少ないため、方針決めには時間の余裕を持たせておくと安心です。
ここで一番迷いやすいのが、「更地にしてから売るか、建物を残したまま売るか」です。「更地の方が売れやすい」と言われることもありますが、解体すると固定資産税が上がるため、急いで解体すると損をすることがあります。判断基準はこちらで詳しく解説しています。
あわせて読みたい:空き家を解体したら固定資産税が高くなった——減免制度と特定空き家リスクを整理します
ステップ④ 処分・清算と各種手続き
売却契約、解体工事、登記手続きなど、実際の処分と清算を進めます。あわせて忘れやすいのが、家に紐づく細かな契約の解約です。次のチェックリストを使ってください。
- 電気・ガス・水道の解約(解体する場合はガスの閉栓・撤去を先に)
- 固定電話・インターネット回線の解約
- NHKの解約・住所変更
- 郵便物の転送届(旧居宛ての郵便を1年間転送できます)
- 物件の名義の変更
- 新聞・定期購入・サブスクなどの解約
- 火災保険の解約(処分、売却が済んでから)
ここまで来れば実家じまいはゴール間近です。
実家じまいの費用の目安

実家じまいにかかる費用は、片付け・解体・登記などを合わせると、まとまった金額になります。片付け業者への依頼で30〜80万円程度、解体を伴う場合はトータルで200万円を超えることも珍しくありません。ただし売却できれば、その代金で費用をまかなえる場合もあります。費用は物量・立地・建物の構造で大きく変わるため、必ず見積もりを取って確認してください。
「売る・解体して売る・保存(管理)する、放置する」パターン別の総額シミュレーションや、費用を安くする方法は、こちらの記事に詳しくまとめています。
あわせて読みたい:実家じまいの費用はいくら?内訳と安くする方法をケアマネが解説

担当していたご家族も「解体費用が思ったより高くて驚いた」と話していました。費用は先に把握しておくと、心の準備ができます。
実家じまいで使える補助金・制度
実家じまいには、条件が合えば使える補助金や制度があります。ただし先にお伝えしておくと、補助金は「誰でも必ず使える」ものではありません。基本は自費と考え、使えたらラッキーくらいの気持ちでいる方が、心の負担が軽くなります。
使える可能性がある制度は、大きく分けて「空き家の解体補助金」「空き家バンク・利活用の補助金」「空き家3,000万円特別控除」「相続土地国庫帰属制度」の4つです。それぞれの条件や申請時の注意点は、こちらの記事に詳しくまとめています。
あわせて読みたい:実家じまいに補助金は使える?解体・片付け・売却の制度まとめ
実家じまいでやってはいけない5つの失敗
ケアマネとして相談を受けてきた中で、「これをやって後悔した」という話には共通パターンがあります。先に知っておくだけで避けられるものばかりです。
失敗① 家族に相談せず、勝手に片付け・処分を始める
きょうだいの思い出の品や、形見にしたかった物を勝手に処分してしまい、関係がこじれるケースです。実家じまいで一番怖いのは費用より「家族の亀裂」。着手前に必ず全員に声をかけてください。
失敗② 名義を確認する前に、売却や解体の話を進める
名義が祖父母のままだった場合、相続登記を終えるまで売却も解体もできません。順番はかならず「名義確認が先」です。
失敗③ 補助金の申請前に、解体工事を始めてしまう
補助金の多くは「工事前の申請・現地調査」が条件です。先に着工すると対象外になります。使う可能性が少しでもあるなら、着工前に自治体へ確認を。
失敗④ 「とりあえず更地に」して、税金だけ上がる
売れる見込みを確認しないまま解体すると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がり、売れない更地と高い税金だけが残ることがあります。解体は「売り先・使い道が見えてから」が原則です。
失敗⑤ 重要書類ごと業者に丸投げして廃棄してしまう
権利書・通帳・保険証券・年金関係の書類は、片付け業者が入る前に家族の手で確保してください。捨ててしまうと再発行に大変な手間がかかります。
ケアマネとして見てきた「実家じまいのリアル」
担当していたご家族から実家じまいの話を聞いていて、共通して感じることがあります。
一番大変だと言われるのは、「片付けの物量」より「家族間の調整」と「手続きの複雑さ」です。きょうだいで意見が割れる、名義が古いままで手続きが進まない、遠方で何度も通えない——こうした問題が重なって消耗します。放置を続けて固定資産税が上がってしまったというケースもあります。
あわせて読みたい:空き家の固定資産税が6倍になるのはいつから?2023年改正で対象が広がった理由
そして多くの方が口を揃えて言うのが、「親が元気なうちに、もっと話しておけばよかった」ということです。名義の確認、家をどうするかの方針、家族の合意。これらを親の生前に整理できていた家庭は、実家じまいがずっとスムーズでした。

大変なのは物より「人」と「手続き」っす🐾 だから元気なうちの話し合いが効くっすよ!
しんどい、寂しい——そう感じるのは普通のことです
実家じまいの相談を受けていると、費用や手続きの話の合間に、ぽつりとこんな言葉がこぼれます。「片付けながら、涙が出てきちゃって」「実家がなくなるのって、こんなに寂しいんですね」。
実家じまいがしんどいのは、体力の問題だけではありません。自分が育った場所を、自分の手で終わらせる作業だからです。寂しさや罪悪感を覚えるのは自然なことで、間違った感情ではありません。
現場で見てきた中で、心の負担を軽くする工夫を3つだけ紹介します。
- 一気にやろうとしない。1回の帰省で1部屋、で十分です。期限がある場合以外、実家じまいは短距離走ではありません
- 捨てにくい物は、写真に残してから手放す。アルバムや思い出の品は「物」ではなく「記録」として残す方法があります
- しんどい部分は外注する。全部自分でやることが供養ではありません。体と心を守ることを優先してください
実家じまいを楽にするために、元気なうちにできること

実家じまいの負担を減らす一番の方法は、親が元気なうちに準備を始めることです。
- 家・土地の名義を確認しておく(古い名義のままになっていないか)
- 「家をどうするか」を家族で話しておく(残す・売る・解体)
- 生前整理で少しずつ物を減らしておく
- きょうだい間で方針を共有しておく
これらは終活の一部でもあります。何から始めればいいか迷う方は、終活全体の進め方から確認してみてください。
あわせて読みたい:終活は何から始める?ケアマネが教える進め方と優先順位
もし家が売れずに困っている場合は、訳あり物件専門の買取という選択肢もあります。仲介で売れない田舎の家でも、対応してもらえることがあります。
あわせて読みたい:売れない土地の固定資産税を払い続けるのはおかしい?手放す方法をケアマネが解説
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よくある質問【Q&A】
Q. 実家じまいには何年くらいかかりますか?
片付けだけなら数か月、名義整理や売却まで含めると1年以上かかることも珍しくありません。特に相続人が多い場合や、買い手がつきにくい田舎の家は長期戦になりがちです。だからこそ、早めに始めるほど楽になります。
Q. 実家じまいは誰がやるべきですか?一人っ子の場合は?
決まりはありませんが、実際には「実家に近い子」か「長子」が中心になることが多いです。ただし費用と作業を一人で抱えると必ず不満が溜まるので、きょうだいがいる場合は「作業する人・お金を出す人・決める人」の役割を先に話し合ってください。一人っ子の場合は全部を抱え込みやすいので、業者や専門家への外注を前提に計画するのがおすすめです。
Q. どこに相談すればいいですか?
テーマごとに窓口が違います。名義・相続→司法書士、税金→税理士、売却→不動産会社(売れない場合は訳あり物件専門の買取業者)、片付け→遺品整理・不用品回収業者、解体→解体業者と自治体(補助金)。「全部まとめてどこか1か所」はないため、この記事の4ステップ順に、その段階の専門家へ相談するのが近道です。
Q. 親が元気なうちに実家じまいの話をするのは失礼ではないですか?
切り出しにくい話題ですが、失礼ではありません。「家をどうしたいか」を聞くことは、親の意思を尊重することでもあります。実際、親自身が「子どもに迷惑をかけたくない」と気にしているケースは多いです。介護や終活の話のついでに、少しずつ聞いておくのがおすすめです。
まとめ——実家じまいは「親が元気なうちの準備」で決まる
- 実家じまいは「片付け+名義整理+家の処分」まで含む大仕事
- 進め方は①片付け(仏壇含む)②名義確認③家の方針決め④処分・清算+手続きの4ステップ
- 費用は片付け・解体・登記で総額200万円を超えることもある
- 補助金・税制優遇は条件が厳しい。基本は自費、使えたらラッキーと考える
- やってはいけない失敗は「家族に無断」「名義確認前」「申請前の着工」「とりあえず更地」「書類の丸投げ廃棄」の5つ
- しんどい・寂しいと感じるのは普通のこと。一気にやらない、写真に残す、外注する
- 親が元気なうちに名義・方針・生前整理を進めておくと、負担が大きく減る
実家じまいは、心も体もお金も消耗する大仕事です。でも、順番を知り、元気なうちに準備を進めておけば、負担はぐっと軽くなります。まずは「名義の確認」と「家族で話すこと」から始めてみてください。

「いつかやろう」じゃなく、元気な今が一番動きやすいっす🐾 まず名義の確認からっすよ!
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