「実家じまいって、補助金でどうにかならないの?」
費用の総額を見て、まず思い浮かぶのがこの質問だと思います。ケアマネ・医療相談員として、担当していたご家族の実家じまいの相談を受けてきた中でも、一番よく聞かれる質問のひとつです。
結論から先にお伝えすると、「実家じまい補助金」という単一の制度は存在しません。使えるのは、解体・税金・売却それぞれの場面で用意された、いくつかの制度の組み合わせです。この記事では、実家じまいで使える可能性のある制度を整理し、申請の順番や注意点までまとめます。

「補助金があるはず」で探すと迷子になるっす🐾 「今どの場面にいるか」から探すのが近道っすよ!
実家じまいで使える制度は、大きく4つ
実家じまいの場面ごとに使える可能性がある制度を、まず一覧で整理します。
| 場面 | 制度 | 内容 |
|---|---|---|
| 解体するとき | 空き家の解体補助金 | 解体費用の一部を自治体が補助 |
| 解体したあと | 固定資産税の減免制度 | 解体後の税負担増を一時的に抑える自治体独自の制度 |
| 売却するとき | 空き家3,000万円特別控除 | 売却益(譲渡所得)を最大3,000万円控除 |
| 売れないとき | 相続土地国庫帰属制度 | 要件を満たせば土地を国に引き渡せる |
それぞれ対象になる条件がまったく違うため、「うちはどれが使えそうか」を順番に確認していきましょう。
① 空き家の解体補助金——本命だが「対象外」も多い
老朽化して倒壊のおそれがある空き家であれば、多くの自治体が「老朽危険家屋解体撤去補助金」などの名称で、解体費用の一部を補助しています。補助率は解体費用の2〜5割程度、上限額は自治体によって30万〜100万円程度が中心です。東京23区など一部の自治体では140万〜200万円まで補助する例もあります。
ただし、この補助金には細かい条件があります。
- 建築時期(昭和56年5月31日以前など、自治体ごとに基準あり)
- 倒壊・破損のおそれがあると自治体の現地調査で判定されること
- 所有者(申請者)の所得制限が設けられている場合がある
- 過去に同じ補助金を受けた人がいないこと
「まだ住める家」「単に古いだけで危険性が低い家」は対象外になることが多く、すべての実家が使えるわけではない点に注意してください。解体費用の相場や補助金の申請の流れは、こちらで詳しく解説しています。
あわせて読みたい:空き家の解体費用と補助金——相場・申請方法・固定資産税の注意点

「うちの実家は対象になりますか?」は、自治体の窓口に直接聞くのが一番早いです。判定は自治体が行うので、まず現地調査を依頼するところから始めてください。
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② 解体後の固定資産税減免——「解体したら税金が上がった」を防ぐ
家が建っている土地には、固定資産税を軽減する「住宅用地の特例」が適用されています。解体して更地にすると、この特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が急に上がることがあります。
この負担増を一時的に緩和するため、解体後の土地の税額を数年間だけ据え置く・軽減するといった制度を用意している自治体もあります。ただし全国一律の制度ではなく、実施していない自治体も多いため、解体前に必ず役所の資産税課に確認してください。
あわせて読みたい:解体後に固定資産税は上がる?減免制度と申請のタイミングをケアマネが解説
逆に、放置したまま何もしないケースでは、税額が下がるどころか「特定空き家」に指定されて上がることもあります。放置と解体、どちらが得なのかは一概に言えないため、次の記事もあわせてご確認ください。
あわせて読みたい:空き家を放置すると固定資産税が6倍に?特定空き家の仕組みと対策をケアマネが解説
③ 空き家3,000万円特別控除——売却益の税金を大きく減らせる制度
相続した実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たせば、その譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。正式名称は「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」で、対象は2027年(令和9年)12月31日までの譲渡です。
主な要件は次のとおりです。
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物は対象外)
- 相続開始の直前、被相続人が一人で住んでいたこと(老人ホーム入所の場合も一定要件で対象)
- 譲渡対価(売却額)が1億円以下であること
- 売却時に耐震基準を満たしているか、更地にしてから売却すること(売却後に買主側で耐震改修・取壊しを行う場合も一定要件で対象)
相続人が3人以上いる場合、控除額は1人あたり2,000万円に縮小されます。適用には、家屋所在地の市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要で、確定申告の手続きも必須です。要件が細かいため、対象になるかどうかは税理士や税務署に確認するのが確実です。

控除額3,000万円はかなり大きいっす🐾 「昭和56年以前の建物」「3年以内の売却」の2つだけでも、先にチェックしておく価値があるっすよ!
④ 相続土地国庫帰属制度——「売れない実家」の最終手段
2023年4月に始まった制度で、相続した土地を、一定の要件を満たせば国に引き渡すことができます。「もう誰も使わない、売れる見込みもない」という土地の最終手段として注目されています。
ただし、無料で手放せる制度ではありません。審査手数料が土地1筆あたり14,000円(却下・取下げでも返還されません)、承認された場合はさらに10年分の管理費用相当額として「負担金」を納める必要があり、宅地・農地であれば原則20万円程度からです(市街化区域など条件によっては面積に応じて増額)。
さらに大きな注意点として、建物が残っている土地は対象外です。つまり実家じまいでこの制度を使う場合、先に解体して更地にする必要があります。境界が確定していない土地も対象外のため、測量費用がかかることもあります。「解体費+測量費+負担金」を合計すると、結果的に売却した方が安く済むケースも少なくありません。
売却できるかどうかをまず確認してから、国庫帰属を検討する順番がおすすめです。売れない土地の判断基準は、こちらにまとめています。
あわせて読みたい:売れない土地の固定資産税を払い続けるのはおかしい?手放す方法をケアマネが解説
補助金を使う順番と注意点
制度を使ってから後悔しないために、押さえておきたい注意点をまとめます。
申請は必ず「工事前」に
解体補助金の多くは「工事着手前の事前申請・現地調査」が原則です。先に解体を始めてしまうと、それだけで対象外になります。「解体業者を決める前」の段階で、自治体の窓口に相談してください。
「使えたらラッキー」くらいの気持ちでいる
補助金は予算に限りがあり、年度途中で受付終了になることもあります。基本は自費で進める前提で資金計画を立て、使えれば負担が軽くなる、というスタンスでいると、対象外だったときの落胆が少なくて済みます。
複数の制度は「順番」で検討する
「売れるなら売却+3,000万円控除」「売れないなら解体補助金+国庫帰属」というように、まず売却できるかどうかを起点に考えると、使うべき制度が絞り込みやすくなります。
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実家じまいの補助金に関するよくある質問
国の制度・国からの補助金はありますか?
解体費用そのものを国が直接補助する制度は、基本的にありません。解体補助金の多くは市区町村が実施主体です。一方、空き家3,000万円特別控除や相続土地国庫帰属制度は国の制度(税制・法務省所管)で、こちらは全国共通の要件で利用できます。「解体は自治体、税金と土地の引き渡しは国」とイメージすると整理しやすいです。
賃貸に出す場合も補助金はありますか?
解体を伴わず賃貸に出す場合は、自治体の空き家バンクを通じた改修費補助やリフォーム助成が使える地域もあります。制度の有無・内容は自治体ごとに大きく異なるため、「(お住まいの市区町村名)空き家バンク 補助金」で検索するか、自治体の空き家対策窓口に直接問い合わせてください。
横浜市など、自分の自治体の制度はどこで探せますか?
制度名も条件も自治体ごとに異なるため、「(市区町村名)+空き家 解体 補助金」で検索するのが確実です。多くの場合、市区町村の「建築住宅課」「空き家対策担当」などの窓口が相談先になります。まずは電話やホームページで、実家の所在地の制度があるかどうかを確認してみてください。
まとめ——補助金は「組み合わせて使う」もの
- 「実家じまい補助金」という単一の制度はなく、解体・税金・売却それぞれの制度を組み合わせて使う
- 解体補助金は上限30万〜100万円程度が中心だが、条件が細かく対象外のことも多い
- 空き家3,000万円特別控除は要件が合えば効果が大きい。期限は2027年12月末まで
- 相続土地国庫帰属制度は建物付きの土地は対象外。解体・測量費用を含めた総額で判断を
- 解体系の補助金は「工事前申請」が原則。業者を決める前に自治体へ相談する
- 基本は自費で計画を立て、補助金は「使えたらラッキー」のスタンスで
補助金は正しく使えれば負担を大きく減らせますが、条件を知らずに動くと「対象外だった」「先に工事してしまって使えなかった」ということにもなりかねません。まずは実家の状況(築年数・老朽度・売却の見込み)を整理し、使えそうな制度に見当をつけてから、自治体や専門家に相談してみてください。

制度は「知っているかどうか」で結果が変わるっす🐾 まずは自分の実家がどの制度に近いか、見当をつけるところからっすよ!
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