「親の土地があるから、そこに家を建てよう」
田舎では珍しくない選択です。土地代がかからず、親の近くに住める。メリットが多いように見えます。
でも、ケアマネとして働いていると、建てた後から困っている家族を何度も見てきました。親が元気なうちは問題にならなかったことが、施設入所・認知症・相続をきっかけに一気に表面化するのです。
この記事では、現場で見てきた実態と、建てる前に知っておくべきことを正直にまとめます。

土地代が浮くのは大きいっす。でも「建てたあと」「親が高齢になったあと」「相続のあと」まで考えておかないと、あとで困ることがあるっすよ🐾
ケアマネが見てきた「親の土地トラブル」の現実
ケアマネとして相談を受けた中で、こういう声は何度も聞きました。

親が施設に入って、母屋も空き家。敷地内に使っていない建物がいくつもあります。

親の土地に兄が家を建てたのに、親が施設入所になり、誰も住まなくなった親の家の管理をしてくれなくて困っています。
家族が揉めるのは、親が元気なときではありません。親が施設に入ったあと、認知症が進んだあと、亡くなったあと——このタイミングで、名義・相続・空き家・固定資産税の問題が一気に出てきます。
親が認知症になっていると、土地や建物の売却・解体・名義変更が簡単には進まなくなります。成年後見制度を使えば手続きできる場合もありますが、時間も費用もかかります。元気なうちにしか動けないことが、たくさんあるのです。

「親が元気なうちは大丈夫だから放っておく」ではなく、元気なうちにこそ、もしもの時の備えができる。ケアマネとして何度も経験してきて、皆さんに伝えたいことです。
後悔しやすい3つのパターン
① 親との距離が近すぎてしんどくなる
同じ敷地内や隣地に住む場合、生活音・来客・子育て・介護など、いろいろな場面で親との関わりが増えます。仲が良い親子でも、近すぎる距離は負担になることがあります。配偶者にとっては、義理の親との距離が近くなりすぎてストレスになることも少なくありません。
土地代が浮くメリットだけで決めず、「この距離感で何十年も暮らせるか」を夫婦でよく話し合っておく必要があります。
② 兄弟との関係が悪くなる
建てた当時は問題なくても、相続のタイミングで不公平感が出やすいです。「あなただけ親の土地を使ってずるい」「土地を使った分、相続分を減らすべきでは」「介護は誰がするのか」——お金と感情が絡むと、家そのものよりも関係修復の方が難しくなります。
③ 土地や建物を売りにくくなる
土地が親名義のまま、建物だけ子ども名義になっている場合、売却には所有者全員の同意が必要になります。田舎の広い土地や古い家は、そもそも買い手が見つかりにくいことも重なります。「建てるときは簡単だったけど、手放すときが大変」というのは、田舎の家でよくある話です。
共有名義の土地は、売却時に全員の同意が必要です。人数が多いほど書類や確認作業が増え、手続きや司法書士費用もかさみやすくなります。
田舎でよくある「同敷地内に空き家が増える」問題
田舎の広い敷地を持つ家庭では、こんなパターンが起きやすいです。親が子どものために敷地内に家を建てた。子どもが都会に出て戻らず、建てた家が空き家になった。親が施設に入って、母屋も空き家になった。気づいたら同じ敷地に空き家が2棟・3棟ある状態に——。
親の気持ちはわかります。でも子どもの人生は親の思い通りには進みません。就職・結婚・転勤・子育て。戻りたくても戻れないこともある。結果として、誰も住まない建物だけが敷地内に残ります。

わたしも移住の時に、「子供が住む予定だったけど都会に行ってしまった」ために貸し出した一戸建てを内見したことがあります。
思い描いたとおりにならないパターンも想定することが大事ですね。
同敷地内の空き家が抱える問題
使っていない家でも、固定資産税・草刈り・雨漏り確認・害虫対策・修繕費はかかり続けます。親が元気なうちは管理してくれても、施設に入ったあとはその負担が子ども世代に回ってきます。遠方に住んでいる場合は特に大変です。
解体すれば管理の手間は減りますが、建物を解体すると住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がる可能性もあります。「維持するのか・解体するのか・売るのか」を早めに決めておくことが、負担を減らすことにつながります。
あわせて読みたい:空き家の解体費用と補助金——相場・申請方法・固定資産税の注意点
建てる前に確認・やるべきこと
① 土地の名義を確認する
「親の土地」と思っていても、祖父母の名義のままだったり、共有名義だったりすることがあります。名義が曖昧なままでは、住宅ローンも相続も手続きが複雑になります。まず登記事項証明書で「誰の土地か・共有者はいないか」を確認してください。
② 贈与税の有無を専門家に確認する
親名義の土地を無償で借りて家を建てる場合(使用貸借)は、一般的に贈与税はかかりません。ただし土地の名義を子どもに移す場合は贈与税の対象になります。土地の評価額や名義変更の方法によって税額が変わるため、建てる前に税理士か税務署に確認してください。「親子だから大丈夫」で進めるのが一番危ないです。
③ 住宅ローンの担保設定を金融機関に確認する
土地が親名義のままだと、住宅ローンの抵当権設定に親の同意が必要になることがあります。親が認知症になったあとでは同意や署名が難しくなるため、ローンを使う予定があるなら親が元気なうちに金融機関へ相談しておきましょう。
④ 兄弟姉妹を含めて話し合い、記録に残す
親だけの許可で進めると、あとから兄弟に不満が出ることがあります。建てる前に兄弟姉妹全員に説明し、話し合った内容をメモや書面に残しておきましょう。できれば税理士・司法書士・行政書士などの専門家を交えて整理しておくと安心です。
⑤ 親が施設に入ったあとの管理者を決めておく
母屋の管理は誰がするのか、敷地の草刈りは誰が担うのか。住む人と管理する人が同じとは限りません。遠方の兄弟がいる場合は特に話し合いが必要です。
⑥ 売れない場合の出口を知っておく
田舎の家は仲介では売れないことが多いです。築年数が古い・場所が不便・建物が複数ある・境界が曖昧——こうした条件が重なると買い手が見つかりにくくなります。どうしても売れない場合は不動産買取という選択肢もあります。建てる段階で将来の売却まで考える人は少ないですが、田舎の家ほど「出口」を意識しておくことが大切です。
\ 売れない田舎の家、まず相談だけでも /
まとめ——「建てたあと」まで考えてから決める
- 家族が揉めるのは親が元気なときではなく、施設入所・認知症・相続のあと
- 距離が近すぎる・兄弟間の不公平・売りにくさは建てる前には見えにくい
- 田舎の広い土地では同敷地内に空き家が増えやすく、管理・税・修繕が重なる
- 名義・贈与税・ローン・兄弟への説明・管理者・出口は建てる前に整理する
- 親が元気なうちにしか動けないことがある。早めに専門家へ相談を

土地があるのはありがたいことっす。でも、建てた家は何十年も残るっす🐾 親が元気なうちに、家族でちゃんと話しておくのが一番っすよ!
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