「終活って、何から始めればいいの?」
ケアマネジャーをしていると、利用者さんやそのご家族から、こういう相談をよく受けました。
市町村から配られるエンディングノートを定期訪問のときに持って行って配ったり、興味を持った方とは一緒に書き方を考えたりもしてきました。やってみて感じたのは、終活は「全部やろう」と思うと動けなくなるということです。
この記事では、終活を何から始めればいいのか、優先順位と進め方を、ケアマネとして見てきた現場の感覚も交えて整理します。完璧を目指さず、一つずつ進めるための地図として使ってください。

「終活」って言葉は重いっすけど、要は「家族が困らないように整理しておく」ことっす🐾 一個ずつでいいっす!
終活は何から始める?まず全体像を知る
終活でやることは、大きく分けると6つあります。まず全体像を見てみましょう。
| やること | 内容 | 分類 |
|---|---|---|
| ① エンディングノートを書く | 情報・希望をまとめる入口 | 気持ち・情報 |
| ② 生前整理・実家の片付け | モノを減らし整理する | モノ |
| ③ 相続・遺言の準備 | 財産・名義の整理 | お金 |
| ④ 空き家・不動産をどうするか | 住まない家の方針を決める | お金・モノ |
| ⑤ 医療・介護の希望を話す | 人生会議(ACP) | 気持ち |
| ⑥ お墓・葬儀の希望 | 最期の形を考える | 気持ち |
どこから手をつけるか迷ったら、「お金・モノ・気持ち」のうち、自分が一番気になっているものから始めれば大丈夫です。順番に決まりはありません。
以下、それぞれを簡単に解説しながら、詳しい記事へ案内していきます。
① エンディングノートを書く——終活の入口に最適
何から始めるか迷ったら、まずエンディングノートがおすすめです。財産・連絡先・医療の希望・家族へのメッセージなどを1冊にまとめるノートで、書きながら「自分が何を整理すべきか」が見えてきます。
市販のものもありますが、多くの自治体が無料で配布しています。わたしもケアマネ時代、定期訪問のときに市町村のエンディングノートを配って回っていました。まずは役所や地域包括支援センターで聞いてみてください。
ひとつ大事なことがあります。エンディングノートは「書くだけ」では十分ではありません。書いた内容を家族と共有して、初めて役に立ちます。どこにしまってあるかを家族が知らなければ、いざというとき見つけてもらえないからです。

興味を持った方とは一緒に書くお手伝いもしましたが、全部埋めようとすると途中で止まってしまう方が多かったです。書けるところから、鉛筆で気楽に。それで十分です。
② 生前整理・実家の片付け——モノから始めると動きやすい
「考えるのは苦手だけど、手を動かすのは得意」という方は、生前整理から始めるのもおすすめです。使わないモノを減らしておくと、残された家族の負担が大きく減ります。
ケアマネとして多くのお宅を訪問してきましたが、長年住んだ家の荷物は本当に多いです。元気なうちに少しずつ減らしておくと、後の片付けがまったく違います。一気にやろうとせず、「今日は引き出し1つ」くらいのペースで十分です。
なお、自宅を老後資金として活用する「リバースモーゲージ」「リースバック」という選択肢もありますが、田舎の古い家は担保評価が低く対象外になることも多いです。仕組みとリスクを事前に確認しておきましょう。👉 リバースモーゲージとリースバックの違いは?田舎の家だと使えないことがある理由
③ 相続・遺言・名義の準備——後回しにすると家族が困る
財産や不動産の名義をどうするかは、終活の中でも特に重要です。特に田舎の家は、名義が何代も前のままになっているケースが少なくありません。
2024年からは相続登記が義務化され、放置すると過料の対象になることもあります。元気なうちに名義の状態を確認しておくことが、家族を守ることにつながります。
あわせて読みたい:固定資産税の名義人が死亡したままにしていると起きること——相続登記と売却の手順
④ 空き家・実家をどうするか——住まない家は早めに方針を
誰も住まない実家をどうするかは、終活の中でも先送りされがちなテーマです。しかし放置すると、固定資産税・管理・近隣トラブルといった問題が、残された家族に重くのしかかります。
「維持する」「売る」「解体する」のどれを選ぶにしても、元気なうちに方針だけでも家族と話しておくことが大切です。特に田舎の家は買い手が少なく、売却に時間がかかるため、早めの判断が選択肢を広げます。
あわせて読みたい:空き家の解体費用と補助金——相場・申請方法・固定資産税の注意点
あわせて読みたい:相続放棄した家の解体費用はいくら?放棄・維持・解体・売却の費用を比較します
売れずに困っている家がある場合は、買取という選択肢もあります。
\ 売れない不動産に困ったら /
⑤ 医療・介護に関する方針(希望)を話しておく——人生会議(ACP)
終活の中で、わたしがケアマネとして一番大切だと感じているのがこれです。「もしものとき、どんな医療やケアを受けたいか」を、元気なうちに家族と話し合っておくこと。これを「人生会議(ACP)」と呼びます。
以前、病院の医療相談員をしていた時に現場でよく見たのは、本人の意思がわからないまま、家族が重い決断を迫られる場面です。「延命治療を望むのか」「最期はどこで過ごしたいのか」——本人が元気なうちに話していれば、家族はずっと楽になります。
大切なのは、たとえ本人がエンディングノートに希望を書いていても、それを家族が知らなければ現場には届かないということです。いざというとき家族が「蘇生してください」と言えば、書面の希望より家族の意思が優先されることもあります。だからこそ「書く」だけでなく「話して共有する」ことが欠かせません。
大事なのは「答えを出すこと」ではなく「話し合うこと」です。気持ちは変わって当然なので、一度で決めなくていい。何気ない会話の中で「自分はこう思う」と伝え合うだけでも、立派な人生会議です。

「縁起でもない」と避けられがちですが、これは死の準備というより、家族が困らないための思いやりです。元気なうちに、少しずつで大丈夫です。
終活を考えるなら、毎月払い続けている医療保険も見直しの対象です。公的制度でどこまでカバーされるか、ケアマネの視点でまとめています:医療保険はいらない?ケアマネが見てきた現実と、高額療養費制度で変わる判断基準
⑥ お墓・葬儀の希望——形にこだわらず希望を残す
お墓や葬儀をどうするかも、家族が迷いやすいポイントです。最近は形式も多様化しているので、「こうしてほしい」という希望があれば、エンディングノートに書いておくと家族の負担が減ります。
逆に「特にこだわりはない、家族に任せる」というのも立派な意思表示です。それを伝えておくだけで、残された家族は安心して判断できます。
まとめ——終活は完璧を目指さず、一つずつ
- 終活でやることは6つ。全部やろうとせず、気になるものから始める
- 迷ったらエンディングノートが入口に最適。ただし家族との共有が大事
- 相続・名義・空き家は後回しにすると家族が困る。早めの確認を
- 医療・介護の希望は「答え」より「話し合うこと」が大切
- 完璧を目指さず、書けるところ・できるところから一つずつ
終活は「死の準備」ではなく、「自分の希望を伝えて、家族が困らないようにする整理」です。重く考えず、今日できることを一つだけ。それが最初の一歩になります。

「いつかやろう」が一番進まないっす🐾 今日、引き出し一つでもいいから手をつけてみるっす!
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