「実家じまいをしたよ〜、本当に大変だった…」
以前ケアマネジャーとして担当していたご家族から、世間話でこう聞いたことがあります。親が施設に入り、やがて亡くなり、誰も住まなくなった実家をどうにか片付けて手放す——。その一連の作業を「実家じまい」と呼びます。
話を聞いていると、「片付けだけでも大変なのに、家の名義や売却、解体の手続きまで重なって、想像以上に消耗した」という声が多いです。ケアマネ・医療相談員として介護とお金の現場を見てきた立場から、この記事では実家じまいの全体像、費用の目安、使える補助金、そして進め方を整理します。

「実家じまい」は片付けだけじゃないっす🐾 家をどうするか、名義、お金、全部ひっくるめての大仕事っすよ!
実家じまいとは?「片付け」との違い
実家じまいとは、住む人がいなくなった実家を、片付けから処分(売却・解体)まで含めて整理することを指します。単なる「片付け」より広い概念です。
| やること | |
|---|---|
| 実家の片付け | 家財・不用品の整理、処分、清掃 |
| 実家じまい | 片付け+名義・相続の整理+家の処分(売却・解体・活用) |
実家じまいを始める人が多いのは、親の施設入所や相続をきっかけにしたタイミングです。「誰も住まなくなった家を、どうするか」という問題に直面したとき、片付けだけでなく家そのものの行き先まで決めなければなりません。だからこそ大変なのです。
実家じまいの進め方——4つのステップ
実家じまいは、順番に沿って進めると迷いにくくなります。大きく4つのステップに分けられます。
ステップ① 片付け・不用品の整理
まずは家の中を片付けます。重要書類(権利書・通帳・保険証券)を最初に探し、その後「残す・売る・捨てる」で仕分けていきます。物量が多い場合は業者に頼むことも検討します。
あわせて読みたい:実家の片付けは何から?費用・業者・売れるものまでケアマネが解説
ステップ② 名義・相続の確認
家や土地の名義が誰になっているかを確認します。田舎の家は、名義が何代も前のままになっていることが少なくありません。名義が整理されていないと、売却も解体も進められないため、早めの確認が重要です。
あわせて読みたい:固定資産税の名義人が死亡したままにしていると起きること——相続登記と売却の手順
ステップ③ 家をどうするか決める(売る・解体・活用)
片付けと名義の整理ができたら、家の行き先を決めます。売る、解体して更地にする、賃貸や空き家バンクで活用する——それぞれにメリットと費用があります。田舎の家は買い手が少ないため、方針決めには時間の余裕を持たせておくと安心です。
ステップ④ 処分・清算
売却契約、解体工事、登記手続きなど、実際の処分と清算を進めます。ここまで来れば実家じまいはゴール間近です。
実家じまいの費用の目安
実家じまいにかかる費用は、片付け・解体・登記などを合わせると、まとまった金額になります。目安を整理します。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 片付け・不用品回収 | 戸建てで30〜80万円程度 |
| 解体工事(木造) | 100〜200万円程度 |
| 相続登記(名義変更) | 数万円〜15万円程度 |
| 各種手続き・交通費など | 数万円〜 |
特に解体を伴う場合、トータルで200万円を超えることも珍しくありません。ただし売却できれば、その代金で費用をまかなえる場合もあります。費用は物量・立地・建物の構造で大きく変わるため、必ず見積もりを取って確認してください。

担当していたご家族も「解体費用が思ったより高くて驚いた」と話していました。費用は先に把握しておくと、心の準備ができます。
実家じまいで使える補助金・制度
実家じまいには、条件が合えば使える補助金や制度があります。ただし先にお伝えしておくと、補助金は「誰でも必ず使える」ものではありません。基本は自費と考え、使えたらラッキーくらいの気持ちでいる方が、心の負担が軽くなります。
① 空き家の解体補助金
老朽化して倒壊の危険がある空き家なら、多くの自治体が解体費用の一部を補助しています。「老朽危険家屋解体事業補助金」などの名称で、補助割合は解体費用の3〜5割程度、上限30万〜100万円前後が多いです。
ただし「築年数」「倒壊のおそれ」「空き家になっている期間」など細かい条件があり、すべての実家が対象になるわけではありません。
あわせて読みたい:空き家の解体費用と補助金——相場・申請方法・固定資産税の注意点
② 空き家バンク・利活用の補助金
自治体の空き家バンクに登録して売却・賃貸する場合、残置物の撤去費用や改修費の補助が出る地域もあります。ただし「売る・貸す」前提の利活用補助なので、「とりあえず更地にしたい」というケースでは使えないこともあります。
③ 空き家3,000万円特別控除(税制優遇)
相続した空き家を売却するとき、譲渡所得から最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる特例があります。譲渡所得税を大きく減らせる可能性があります。
ただし「相続から一定期間内の売却」「耐震基準を満たす」などの条件があり、耐震リフォーム費用がかえってかさむ場合もあります。適用を検討するなら、税理士や不動産会社に確認してください。
④ 相続土地国庫帰属制度
2023年4月に始まった制度で、相続した使わない土地を、一定の要件を満たせば国に引き渡せます。ただし建物付きの土地は原則対象外で、解体や境界確定などの事前費用がかかるうえ、申請手数料や負担金も必要です。「何もせず無料で手放せる制度」ではない点に注意してください。
あわせて読みたい:売れない土地の固定資産税を払い続けるのはおかしい?手放す方法をケアマネが解説
補助金の落とし穴——「使えないこともある」
ケアマネとして相談を受けていると、「補助金があるらしい」と期待して、あとで「うちは対象外だった」と落胆するご家族を見てきました。
特に注意したいのが申請のタイミングです。「先に解体工事を始めてしまって、補助金の対象外になった」というケースがあります。補助金は工事前の現地調査や事前申請が必要なことが多いので、必ず自治体や専門業者に事前相談してください。

補助金は「ラッキーなおまけ」くらいに考えて、基本は自費で進める前提でいると、対象外だったときの落胆が少なくて済みます。
ケアマネとして見てきた「実家じまいのリアル」
担当していたご家族から実家じまいの話を聞いていて、共通して感じることがあります。
一番大変だと言われるのは、「片付けの物量」より「家族間の調整」と「手続きの複雑さ」です。きょうだいで意見が割れる、名義が古いままで手続きが進まない、遠方で何度も通えない——こうした問題が重なって消耗します。
そして多くの方が口を揃えて言うのが、「親が元気なうちに、もっと話しておけばよかった」ということです。名義の確認、家をどうするかの方針、家族の合意。これらを親の生前に整理できていた家庭は、実家じまいがずっとスムーズでした。

大変なのは物より「人」と「手続き」っす🐾 だから元気なうちの話し合いが効くっすよ!
実家じまいを楽にするために、元気なうちにできること
実家じまいの負担を減らす一番の方法は、親が元気なうちに準備を始めることです。
- 家・土地の名義を確認しておく(古い名義のままになっていないか)
- 「家をどうするか」を家族で話しておく(残す・売る・解体)
- 生前整理で少しずつ物を減らしておく
- きょうだい間で方針を共有しておく
これらは終活の一部でもあります。何から始めればいいか迷う方は、終活全体の進め方から確認してみてください。
あわせて読みたい:終活は何から始める?ケアマネが教える進め方と優先順位
もし家が売れずに困っている場合は、訳あり物件専門の買取という選択肢もあります。仲介で売れない田舎の家でも、対応してもらえることがあります。
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まとめ——実家じまいは「元気なうちの準備」で決まる
- 実家じまいは「片付け+名義整理+家の処分」まで含む大仕事
- 進め方は①片付け ②名義確認 ③家の方針決め ④処分・清算の4ステップ
- 費用は片付け・解体・登記で総額200万円を超えることもある
- 補助金・税制優遇は条件が厳しい。基本は自費、使えたらラッキーと考える
- 一番大変なのは物より「家族の調整」と「手続き」
- 親が元気なうちに名義・方針・生前整理を進めておくと、負担が大きく減る
実家じまいは、心も体もお金も消耗する大仕事です。でも、順番を知り、元気なうちに準備を進めておけば、負担はぐっと軽くなります。まずは「名義の確認」と「家族で話すこと」から始めてみてください。

「いつかやろう」じゃなく、元気な今が一番動きやすいっす🐾 まず名義の確認からっすよ!
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