「プロパンガスの無償貸与って、もう禁止されたの?」
「昔、給湯器を無料で付けてもらったけど、あの契約はどうなる?」
田舎の中古住宅を購入するとき、意外と見落としやすいのがプロパンガスの無償貸与契約です。
結論から言うと、無償貸与に関係するルールは2024年以降に大きく見直されましたが、無償貸与そのものがすべて禁止されたわけではありません。以前に結んだ契約が、自動的に無効になるわけでもありません。

わたしも初めて田舎の中古住宅を購入したとき、「ガス器具は無料です」と言われるまま契約し、あとから15年の契約だったことに気づきました。
この記事では、無償貸与の仕組みと制度改正の内容、わが家の失敗、中古住宅を購入する前に確認したいことをまとめます。
【結論】無償貸与がすべて禁止されたわけではない
2024年7月から、LPガス事業者による過大な利益供与や、消費者がガス会社を変更しにくくなる契約などへの規制が始まりました。
さらに2025年4月からは、LPガス料金を「基本料金」「従量料金」「設備料金」に分けて表示するルールが施行されています。
ただし、これは「給湯器などを貸し出す契約が一切できなくなった」という意味ではありません。
戸建て住宅では、設備料金と内容が明確に表示された契約が残る場合があります。また、制度改正前に結んだ契約では、契約期間や設備の残存費用、所有関係が現在も残っている可能性があります。
そのため、中古住宅を購入するときやガス会社を変更するときは、現在のルールだけでなく、実際に交わされている契約書を確認することが重要です。
そもそもプロパンガスの無償貸与とは?
プロパンガスの無償貸与とは、ガス会社が給湯器や配管などを設置し、その費用を長期間の契約の中で回収する仕組みです。

表向きは「無料設置」に見えても、契約によっては次のような条件が付いていることがあります。
- 設備費用が料金設計の中に含まれている
- 契約期間が10年や15年など長期間に設定されている
- 途中で解約すると設備の残存費用を請求される
- 売却時に契約や設備の扱いを整理する必要がある
設備を自分で購入する初期費用を抑えられる点はメリットです。しかし、契約内容を理解しないまま進めると、あとからガス会社を変更しにくくなることがあります。
体験談|無料だと思った給湯器が15年契約だった
ここからは、わたし自身の失敗談です。
不動産屋に紹介されたガス会社へ任せてしまった
初めて都市ガスからプロパンガスへ変わる中古住宅を購入したとき、わたしはプロパンガスの料金や契約の仕組みをほとんど知りませんでした。

古いガス器具も新しく設置し直せますし、無料でやってもらえますよ。
「無料ならありがたい」と思い、ほかのガス会社や料金を比較せず、そのまま紹介された会社へお願いしました。
契約書を見て初めて「無料」の意味に気づいた
引っ越し後、ガス会社が持ってきた契約書を見ると、十数万円の器具代金と、15年以内に解約した場合の精算条件が記載されていました。
「無料ではないのですか」と確認すると、担当者からは次のように説明されました。

ガス会社が交代するときに、次の会社が払うので、お客さんは払わなくていいですよ。
不安はありましたが、その説明を信じて契約しました。
数年後に確認すると「契約書の通りです」と言われた
数年後、引っ越しや売却を考え、契約がどうなるのかガス会社へ電話で問い合わせました。

次の家主と三者で契約を引き継ぐか、残りの費用を精算していただく必要があります。
契約時に「自分で払わなくてもよい」と説明されたことを伝えましたが、回答は「契約書の通りです」というものでした。
結果として、解約にはまとまった費用がかかる状態になり、そのまま契約を続けることになりました。
現在も、家を売却する場合には「買主へ契約を引き継いでもらうのか」「残っている費用を精算するのか」を考えなければなりません。

「無料」という言葉だけで決めず、契約期間と解約条件まで確認するべきだったっすね🐾
2024年・2025年の制度改正で何が変わった?
LPガスの無償貸与をめぐるルールは、2024年から段階的に見直されています。
2024年7月|過大な利益供与などを規制
2024年7月から、LPガス事業者が不動産会社や建設業者などに対して、設備貸与や紹介料などの形で過大な利益供与を行うことが禁止されました。
消費者がLPガス事業者を選ぶ際の妨げになるような、ガス会社の変更を不当に制限する条件付き契約も規制の対象です。
ただし、設備の貸与や設備料金そのものが、すべて禁止されたわけではありません。
2025年4月|三部料金制を施行
2025年4月から、LPガス料金を次の3つに分けて表示する三部料金制が施行されました。
- 基本料金:容器やメーターなどの固定的な費用
- 従量料金:ガスの使用量に応じてかかる費用
- 設備料金:LPガス器具など、貸与された設備にかかる費用
また、エアコンやインターホン、Wi-Fi機器など、LPガスの消費と関係のない設備費用をLPガス料金へ計上することは禁止されています。
賃貸住宅向けのLPガス料金については、ガス器具などの消費設備費用を入居者のLPガス料金へ計上しないルールも設けられています。

全部禁止されたのではなく、料金を見えやすくして、切り替えを不当に妨げるやり方などが規制されたっすね🐾
制度改正によって料金の透明性は高まりましたが、制度改正前の契約や中古住宅に残っている契約については、個別に確認する必要があります。
参考:経済産業省「LPガスの商慣行を是正するための新たな規律」
参考:経済産業省「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールの概要」
中古住宅を買う前に確認したい5つのこと
田舎の中古住宅を購入する場合は、売買契約を結ぶ前に、プロパンガス設備と契約の状態を確認しておきましょう。
① 給湯器や配管は誰の所有物か
最初に確認したいのは、給湯器、ガスコンロ、配管などの所有者です。
売主の所有物なのか、ガス会社から貸与されている設備なのかによって、購入後にガス会社を選べる範囲が変わります。
② 無償貸与契約が残っていないか
「無料で設置してもらった設備」がある場合は、無償貸与契約が残っている可能性があります。
売主や不動産会社へ確認し、契約書がある場合は見せてもらいましょう。
③ 契約期間と残っている設備費はいくらか
契約の開始日、終了日、設備代金の総額、現在残っている費用、途中解約時の計算方法を確認します。
ガス会社を変更できたとしても、残っている設備費の精算が必要になる場合があります。
④ 売却後に買主へ引き継ぐ条件があるか
売主が結んだ契約について、買主への引き継ぎを求められる場合があります。
購入後に初めて知ることがないよう、契約の引き継ぎが購入条件に含まれていないか確認してください。
⑤ 基本料金・従量料金・設備料金はいくらか
現在の基本料金と従量料金、設備料金の有無も確認します。
可能であれば直近の検針票や請求書を見せてもらい、使用量と請求額を確認してください。
あわせて読みたい:
プロパンガスの料金がおかしいと思ったら——検針票の見方と適正価格の確認方法
すでに無償貸与契約を結んでいる場合はどうする?
すでに契約している場合も、慌てて解約するのではなく、まず契約内容と現在の料金を整理します。
確認する順番は次のとおりです。
- 契約書を探す
- 契約期間と設備の所有者を確認する
- 設備代金の総額と残っている費用を確認する
- 途中解約時の精算方法を確認する
- 現在の基本料金・従量料金・設備料金を確認する
- 変更後に安くなる金額と、解約時の負担を比べる
残っている設備費が少なければ、精算してガス会社を変更した方が、長い目で見ると安くなる可能性があります。
反対に、残っている費用が大きい場合は、すぐに変更するのではなく、現在のガス会社へ契約条件や料金について確認する方法もあります。
説明を受けていない契約や不自然な営業行為があったと感じる場合は、資源エネルギー庁のLPガス商慣行通報フォームなど、公的な相談先も確認してください。
ガス会社を変更するときは残っている費用も含めて比べる
プロパンガス代が高いからといって、安いガス会社へ変更すれば必ず得になるとは限りません。
無償貸与契約が残っている場合は、次の2つを比べる必要があります。
- 変更によって今後安くなるガス料金
- 解約時に精算する設備の残存費用
わたしの場合、自力で地域のガス会社へ問い合わせたときは、納得できる料金を見つけられませんでした。その後、紹介サービスを通じてガス会社を変更した家では、年間のガス代を10万円以上下げられました。
ただし、地域によっては紹介できる会社がなく、現在のガス会社との関係や無償貸与契約によって変更できない場合もあります。
紹介サービスへ相談するときも、現在の契約期間や残っている設備費を伝えたうえで、変更できるか確認してください。
\ まずは自分の地域の適正価格を確認 /
まとめ|「無料設置」は契約書を確認してから決める
プロパンガスの無償貸与に関係するルールは、2024年以降に大きく見直されました。
ただし、無償貸与がすべて禁止されたわけではなく、制度改正前の契約や中古住宅に残っている契約には、現在も注意が必要です。
わたしは「無料」という説明を信じ、契約書の条件を十分に確認しないまま15年の契約を結びました。その結果、家を売却するときやガス会社を変更するときにも、設備費の精算や契約の引き継ぎを考えなければならない状態になっています。
同じ失敗を防ぐため、次の3点は契約前に確認してください。
- 設備の所有者と無償貸与契約の有無
- 契約期間と途中解約時に残る設備費
- 基本料金・従量料金・設備料金

「無料です」より先に、「契約書はどうなっていますか?」と聞くのが大事っす🐾

